◎血管のバイオメカニクスに関する研究



血管はただの管ではありません.内部の圧力や流れに応じて管の太さや壁の厚みが適応的に変化するインテリジェントなパイプです.例えば,血圧が高い状態が長く続くと血管壁は厚くなりますし,血流量が増えた状態が長く続くと血管が太くなります.そして興味深いことに,壁の厚くなりかたは,円周方向の引張応力を一定に保つように,また,管の太くなりかたは,血管内面の壁面剪断応力を一定に保つように起こることが指摘されています(力学的ホメオスターシス).この応答が上手く行われないと,動脈瘤が生じたり,高血圧になったりする可能性も考えられます.また,動脈硬化は血管壁の中でも力が集中しやすい部位に発生することも指摘されています.すなわち,動脈硬化や高血圧,動脈瘤は血管の力学的適応反応の破綻により生じるとも言えます.一方,血管は形状が円筒状で比較的単純なため,力に対する応答を詳細に知るのに適した器官です.そこで,血管の力学特性や構造が種々の環境に応じてどのように変化するのかを調べています.

具体的には,ウサギやブタなどの大動脈を対象に,その力学的性質を当研究室で開発した内圧負荷試験装置や血管組織片の引張・せん断弾性率測定装置などを用いて計測する一方,より微視的に壁内の細胞や線維束の力学特性計測を試みることで,血管壁内のミクロンオーダーの応力・ひずみ分布を明らかにしています:

1)大動脈の力学特性・平滑筋収縮特性の周方向不均質性の解析 

2)微視的視点に基づいた血管壁内の残留応力・ひずみ分布の解析

3)動脈の内圧−直径関係に与える弾性板座屈の影響

4)二軸引張試験機を用いた動脈瘤組織の力学特性の計測 





Biomechanics Laboratory
Nagoya Institute of Technology